われ童子の時は語ることも童子のごとく、思ふことも童子の如く、論ずることも童子の如くなりしが、人と成りては童子のことを棄てたり。
今われらは鏡をもて見るごとく見るところ朧なり、然れど、かの時には顔を対せて相見ん。
今わが知るところ全からず、然れど、かの時には我が知られたる如く全く知るべし。
鏡の中にある如く
現代語役
わたしたちが幼な子であった時には、幼な子らしく語り、幼な子らしく感じ、また、幼な子らしく考えていた。
しかし、おとなとなった今は、幼な子らしいことを捨ててしまった。
わたしたちは、今は、鏡に映して見るようにおぼろげに見ている。
しかしその時には、顔と顔とを合わせて、見るであろう。
わたしの知るところは、今は一部分にすぎない。
しかしその時には、わたしが完全に知られているように、完全に知るであろう。
横浜市青葉区より愛を込めて